我々のようなカメラマンこそ「レンズ沼」というものにハマりやすい。仕事カメラばかり触っていると、そつのないカメラやよく写るレンズばかりチョイスするため、なかなかストレスが溜まるものです。まして3万円台で買えるキテレツなレンズを見つけてしまったら最後。思わずポチッとしてしまったのがこの銘匠光学のティルトレンズです。マウントもいろいろあるようですが、今回はLマウントをチョイス。SIGMA シグマ fpLというコンパクトボディにちょうどいいサイズ感。なかなかやっかいなレンズでありながら、なかなか愉快なこのレンズ。恒例の朝散歩にて使用してみました。
ティルトレンズ TTArtisan Tilt 50mm f/1.4とは
このレンズ、簡単に言うと普通のレンズにはできないあらゆる角度のボケ具合を調整できるレンズです。一点にだけピントを合わせてその他の部分を思いっきりボカしたりできるわけです。代表的なのがジオラマ風写真。世の中いろいろなティルトシフトレンズが出ていますが、このレンズの良さはコストパフォーマンス。3万円台で買える価格帯が最大の魅力だと思います。ちなみにスチールの仕事で特に建築撮影でよく使われるのがシフトレンズと言われるレンズ。建物の歪みを調整できるため使っている方が多いようです。私の場合はPhotoshopで歪みを調整するため一度も使用した事がありません。
ティルトレンズとは、ふつうのレンズと違い、光軸の垂直を調整可能なレンズです。 シフトレンズのティルト機構を使うと自在にピント位置の調整が可能で、絞り開放でも近景から遠景までピントを合わせることができるほか、逆ティルトを使って一ヵ所だけピントを合わせ、その他の部分はぼかして、ジオラマ風の写真に仕上げることもできます。
キャノンイメージゲートウェイWEBサイトより引用
こちらがティルトした状態。こんな感じでつまみを緩めて左右にレンズが傾きます。傾けば傾くほどピンとの位置が狭くなります。ちなみにこのレンズはマニュアルフォーカス。ピントが狭い割にマニュアルで合わせないといけないというなかなか難しいレンズでもあります。ティルトせずに使う分にはまあまあな写りの50mm標準レンズですが、せっかくこれを使うならティルトしまくらないと意味がないかもしれません。
銘匠光学 ティーティーアルチザン TTArtisan Tilt-L50mm f/1.4 の商品スペック
●対応マウント:L(ライカ・パナソニック・シグマ)
ヨドバシカメラwebサイトより引用
●焦点距離 : 50mm
●フォーカス:MF(マニュアルフォーカス)
●レンズ構成 : 6群7枚(高屈折レンズ2枚)
●対応撮像画面サイズ:35mmフルサイズ
●最短撮影距離:0.5m
●絞り:F1.4-F16
●絞り羽根:12枚
●フィルター径:62mm
TTArtisan Tilt 50mm f/1.4 作例 with SIGMA シグマ fpL
今回は散歩カメラとして頻度が高いSIGMA fpLに装着。コンパクトボディにぴったりの見た目。ただし難点はマニュアルフォーカスの上、手持ち撮影をしなければいけない点です。真夏の炎天下の中、操作性を確かめる意味も込めて朝散歩へ。
今回はF1.4の開放で、ティルトも最大まで使って手持ちで撮影。ピントが合っているのか合っていないのか実は非常にわかりづらいです。今回撮影してみて分かったのが、風景や被写体との距離がある場合のボケ具合がなかなかエグいこと。特に遠くの風景を撮影すると勝手にジオラマ写真っぽい感じになりますね。以下は割と近くの被写体ですが、これもなかなか独特の写りでした。
なんと言うか周辺のボケがぐるぐる回っている感じがするのもこのレンズの特徴かもしれません。それとレンズフレアも独特です。ティルトするとファインダーごしに画質が落ちているのも分かると思います。でも私は割と好きですね。オモチャ感というか独特のヌケ感がInstagramと愛称がよさそうなレンズだと思いました。
今回使用したレンズ|TTArtisan Tilt-L50mm f/1.4
素直な感想は「なかなか遊べるレンズ」。実は今回感じたのがマニュアルフォーカスをしながらティルトしてピントを合わせてという作業が意外と大変ではなかったこと。むしろファインダーを見ながらティルトする楽しさの方が勝りました。スナップ写真のようにサクサクは撮れませんが、いつもの風景がまるで違う世界になることは確かです。
我々カメラマンもカメラ好きの方も、時々普通のレンズにどうしても飽きてしまうんですよね。そういう方にはかなりおすすめだと思います。何より3万円台で買えるというのが魅力。手荒に持ち歩いて使い倒せます。