こちらでは、商業的な写真撮影ができるプロカメラマンが使用する機材も少しづつ紹介していきます。今回はストロボ編。ストロボと言ってもカメラの上に装着するクリップオンタイプからモノブロックタイプ、ジェネレータータイプとざっくり3つに分かれます。
カメラマン業界に身を置いてないとなかなかその違いを体験できる機会がありません。特殊な機材なので東京でもない限り、実際に使ってみることもできないのが現状です。なのでそれぞれの特徴と用途を、簡単に説明します。
ストロボの種類と用途
クリップオンストロボ(光量少なめ)
クリップオンストロボは、カメラ上部のアクセサリーシューに取り付ける小型のストロボです。ポータブル性に優れていて結婚式でウェディングカメラマンがよく使っているストロボといえば馴染みがあると思います。もちろん無線トランスミッターを使えばカメラから離して使うこともできます。メリットは軽いこと、デメリットは光量が少ないこと。バッテリーや電池を入れて使います。
最も使われているのは光量をあまり必要としないロケ撮影です。例えば、食の情報誌の取材撮影、結婚式、屋外でのプロフィール撮影など。移動が多く、そこまで光量を必要としない撮影に向いています。
クリップオンストロボの選び方で一番いいのは、使っているカメラメーカーから出ているクリップオンストロボを選ぶこと。設定などが連動するのでラクです。ちなみに私は以下のProfoto(プロフォト)というメーカーのクリップオンストロボを使用しています。トランスミッターももちろんProfotoのものを使用。
ただ、私のような商業写真や広告写真ではほとんど使いません。なぜなら光量が全く足らないしバッテリーのもちが悪いためです。
モノブロックストロボ(標準の光量)
モノブロックストロボにはバッテリー式とコンセント式があります。最近はバッテリー式が主流になってきましたが、クリップオンストロボに比べて出力がかなり強く、長時間の連続撮影や屋外でのロケ撮影にも向いています。バッテリー式のモノブロックストロボでもコンセントと繋ぐことができるため、スタジオ撮影で使用されることも多くなってきました。
メリットは持ち運びができて問題ない光量で撮影ができること。デメリットは大掛かりな撮影では少し光量が足りないくらいです。私はロケでの人物撮影からスタジオでの人物撮影や物撮り、あらゆる撮影に使用しています。最も出番が多いストロボです。ちなみに過去いろいろ試しましたが私は以下の2種類を今は使っています。
Profoto B10X Plus(バッテリー式/コンセント対応)ロケ撮影で使用 ※出力500 Ws
Profoto D2(コンセント式)スタジオでの撮影で使用 ※出力1000 Ws
ジェネレーター式ストロボ(大光量)
ジェネレータ式ストロボのメリットは、大光量という点です。現行で製造されているものではおそらく3600wsが最大かと思いますが、1000wsがMAXのモノブロックストロボの3倍の光量を出力することができます。デジタルカメラ以前のフィルム時代にはこのジェネレーター式ストロボがプロカメラマンの主流でした。デジタル時代になってからはだいぶ出番も少なくなっています。
なぜならカメラ側のISO感度が優秀になったからです。ISO感度をガンガン上げても昔ほど画質が悪くなりにくくなったため、ストロボ自体の光量もそこまで必要ではなくなりました。
ただ、十分すぎるほどのパワーがあるため、連写を多く使用するスタジオでのモデル撮影などではかなり重宝しています。ちなみにジェネレーター1台にストロボヘッド(発光する部分)が3つ装着でき、それぞれの光量を細かく調節できます。スタジオ撮影をするプロカメラマンなら1台3灯は持っている機材です。
私が使用しているのはサンスターという国内メーカーのジェネレーターストロボ。なぜこれをチョイスしているかというと、他に持っているProfoto製品のアンブレラやソフトボックスなどのライトシェービング製品との互換性があり、そのまま使えるからです。
ストロボの使い方
クリップオンストロボの使い方
クリップオンストロボは、カメラ上部のアクセサリーシューに取り付けます。そうすることでシャッターを押した瞬間にストロボが同期され発光する仕組みです。
またクリップオンストロボでも下記のようにカメラのアクセサリーシューにトランスミッターを取り付けることで、ストロボ自体をカメラから離した位置で使うこともできます。ストロボを話すことでブツ撮りや料理の取材撮影のライトとしても使えます。また誰かに持ってもらえるなら、屋外での人物撮影にも利用できます。
モノブロックストロボの使い方
最近はモノブロックストロボも基本的にこのトランスミッターをカメラに取り付けて撮影します。このトランスミッターからモノブロックストロボの光量を調節できるので離れていてもストロボの操作ができます。
こちらがモノブロックストロボの本体。手前にくっついてるのがバッテリーです。もちろんコンセントの差し込み口もあるのでコンセントから直接電源も取れます。
ジェネレーターストロボの使い方
こちらがジェネレーター式ストロボの電源部分。上に4つの大きなソケットがあります。一番左がコンセントと繋ぐソケット。残りの4つがストロボヘッド用のソケット。つまり4灯のストロボをこの1台で発光できるということです。それぞれの出力も調整できます。このジェネレーター自体の重量はかなりあります。
こちらがストロボヘッド。小型のヘッドから大型のヘッドまで数種類がラインナップされています。ちなみにストロボヘッドはジェネレーターと同じメーカーのものを選ぶのが鉄則です。
前から発光部分をみるとこんな感じです。真ん中で飛び出している白い筒状のものはモデリングランプといって、撮影時の補助光として使用するものです。その周りを囲んでいるのがフラッシュチューブ。この部分がストロボとして発光します。
使い方はストロボヘッドにソケットを装着し、ジェネレーターのソケットに片方を装着して使用します。
こんな感じです。4つあるヘッド用ソケットのDに差し込んでいる状態。ちなみにその右側の「SYNC(シンクロソケット)」に差し込んでいるのがシンクロコード。このコードの先をカメラ側のシンクロ端子に接続して使用します。以下のようなトランスミッターの受信側をSYNCに差し込んで、カメラのアクセサリーシューに送信側をつけての無線発光もできます。シンクロコードが煩わしい場合はそうするのがおすすめです。
まとめ(プロカメラマンなら持っておきたいストロボの種類と数)
いかがでしたでしょうか。ストロボの種類と簡単な使い方を説明しましたが、ストロボは用途と目的に合わせての揃えるのがオススメです。クリップオンストロボは取材系とウエディングに。もう少し本格的な写真が撮りたい場合はモノブロックストロボ(2台は必要です)。スタジオなどでモデルさんをバンバン連写で撮りたい場合はジェネレーターストロボにストロボヘッド3灯。
ちなみに私がスタジオでモデル撮影をする場合は、ジェネレーターストロボ2台にストロボヘッド4〜6灯。フードの撮影なら連写の必要がないのでモノブロックストロボを2〜3灯。
車の広告の撮影を専用スタジオで行う時は、2400wsのジェネレーターストロボ2台(ヘッド6灯)、モノブロックストロボ8灯というなかなかの台数を使用しています。
プロカメラマンになりたいなら、500ws〜1000wsの出力ができるモノブロックストロボ2灯は最低必要です。なぜそのくらいの出力が必要かと言うと、屋外でのモデル撮影時に重宝するからです。ProfotoのB10Xシリーズは軽くて出力も強いのでかなりオススメします。